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2017/12/11

Topics研究室訪問記が追加されました

2017/07/21

Topics現在の勤務先とホームページのご連絡をいただきました。
関連サイト

研究者の詳細

氏名 研究キーワード
鈴木 健仁
スズキタケヒト
メタマテリアル、テラヘルツ波
ホームページ http://web.tuat.ac.jp/~suzuki-lab/index.html

年度 種 別 交付対象時所属機関 研究紹介文 研究成果報告
2016年度 学術賞表彰 奨励賞 茨城大学 工学部電気電子工学科
研究題名 テラヘルツ光学素子応用のための電磁メタマテリアルの研究
2012年度 国際交流援助 茨城大学 工学部電気電子工学科
研究題名 金属方形チップ周期構造を有するテラヘルツ波帯人工誘電体レンズの解析
2011年度 奨励研究助成 新材料 茨城大学 工学部電気電子工学科 PDF PDF
研究題名 テラヘルツ光学素子応用のための電磁メタマテリアルの研究

訪問記

最終更新日 : 2018/02/03

訪問日:2017/10/31
訪問時の所属機関 東京農工大学 工学研究院 先端電気電子部門 訪問時の役職 准教授

研究紹介文にもとづき、助成対象となったご研究の詳細をうかがいました(図1)。以下は主な質疑応答です。


ご研究を始めた契機はなんですか?
身近な電波といえば、スマートフォンをはじめとする携帯電話やWi-Fiなどの無線通信を想像されることが多いと思います。 TVやラジオを想像される方も多いかと思います。スマートフォン、Wi-Fi、TV、ラジオで使われている電波は、周波数がそれぞれに異なります。最近では、MHz(メガヘルツ)波帯といった電波から、GHz(ギガヘルツ)波帯といった、より周波数の高い電波が積極的に用いられ始めています。電波は周波数毎に利用対象が決まっており、限られた資源とも言えます。時代とともに高周波数帯を使うようになってきており、近年ではより一層高い周波数のTHz(テラヘルツ)波帯が研究開発の世界で開拓されつつあります。電波を使いこなすには、電波を発振、検出する素子とともに、電波の架け橋となる周辺素子もとても重要です。THzを対象とした電波を発振、検出するデバイスは進化を遂げる一方、アンテナ、レンズ、偏光子などの周辺素子の成熟度はまだまだ十分とは言えません。テラヘルツ波産業時代の到来を信じ、THz波帯で使いやすい材料の準備を今から進めておく必要があると感じ、この研究を始めました。


ご研究の独創性を改めてお伺いします
メタマテリアルと呼ばれる、人工的に特性を制御できる材料を使っています。材料の中で電波は屈折、反射、透過といった現象を起こします。我々の研究室では、自然界の材料では実現できない10を超える高屈折率でありながら、数%の低反射といった特性をメタマテリアルにより実現しました。メタマテリアルは2000年ごろに登場し、多くの研究者の方々が屈折率を0以下にした負の屈折率を持つ材料を活発に研究してきました。そこで我々は自然界の材料より極端に高い屈折率を持ちながら低反射な材料を実現すべく、メタマテリアルの研究に取り組みました。自然界の材料を用いた素子を光源に搭載すると、素子は光源に不釣り合いな大きさになることが多いですが、メタマテリアルを用いることで全てを平面で実現できます。


研究者を志したきっかけを教えてください
幼い頃から科学が好きでした。例えば、化石を集めたり、カブトエビを育てたり、そんなところから研究者への道が始まった気がします。大学は工学系の大学に入学しました。自分で考えて作ったものが動作するのが楽しく、研究を続けてきました。また人や環境にも恵まれてきたことで、研究に打ち込めてこられました。


研究活動の面白さは何ですか?
多くの人が『できない』、『ありえない』と思っていることを実現し、人を驚かせる、あるいは困っていることを解決できるのが研究、技術の面白さだと思います。『こんなことができるのか』といった驚きを持っていただきながら、感謝されることは研究の醍醐味です。もう一つは非常に難しいことですが、分野を越えて『面白い』と思ってもらえるようにすることも楽しさの一つです。


後進の方に伝えたいことは何ですか?
好奇心を持ち続けることが大事だと思います。『なんでだろう』、『どうしてなんだろう』といった気持ちを持ち続けることが新たな発見やアイディアにつながると思います。諦めずに続けることが重要だと思います。


後記
先生は小学生を対象とした野外教育活動のボランティアに参加されているそうです。小学生の物事に対する好奇心にはいつも驚かされるとうかがいました。好奇心を失わず、不思議に思う気持ちを大切にする、鈴木健仁先生のご研究のお話の中からもそういった熱意、ひたむきさを感じました。鈴木先生のご研究がテラヘルツ波時代のサポーターとして多く活用されることを期待しています。
(技術部長 鳥越昭彦)

著作文献紹介
  • Takehito Suzuki, Tomonari Suzuki, John C. Young, Keisuke Takano, Hideaki
    Kitahara, and Masanori Hangyo, "Analysis of artificial dielectric lens
    with metallic rectangular chips for terahertz wave band and physical
    explanation by periodic model,"
    Applied Physics A, vol. 109, no. 4,pp.825-830, Nov. 2012.
    DOI 10.1007/s00339-012-7400-x
  • Takuya Konno, Takahiro Suzuki, John C. Young Mikio Saigusa, Keisuke
    Takano, Hideaki Kitahara, Masanori Hangyo, and Takehito Suzuki,
    "Proposal and Analysis of Artificial Dielectric Lens with Metallic
    Corrugated Structures for Terahertz Wave Band,"
    Applied Physics A, vol.109, no. 4, pp.1103-1108, Nov. 2012.
    DOI 10.1007/s00339-012-7394-4