2018/11/19
Topics | 研究室訪問記が追記されました。 |
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研究者の詳細
氏名 | 研究キーワード |
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大塚 朋廣 オオツカトモヒロ |
ナノ・マイクロデバイス、半導体微細構造、量子ドット、メゾスコピック系、量子輸送現象、スピントロニクス、量子情報 |
ホームページ | http://ja.tomootsuka.net |
年度 | 種 別 | 交付対象時所属機関 | 研究紹介文 | 研究成果報告 |
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2017年度 | 学術賞表彰 奨励賞 | 理化学研究所 創発物性科学研究センター 量子機能システム研究グループ | ||
研究題名 | 超高速量子ドットプローブを用いた固体微細デバイス中の局所電子状態のダイナミック計測 | |||
2013年度 | 奨励研究助成 情報 | 理化学研究所 創発物性科学研究センター量子機能システム研究グループ | ||
研究題名 | 超高速量子ドットプローブを用いた固体微細デバイス中の局所電子状態のダイナミック計測 |
訪問記
最終更新日 : 2018/11/19
訪問日:2018/10/17 | |||
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訪問時の所属機関 | 東北大学 電気通信研究所 | 訪問時の役職 | 准教授 |
2017年度学術賞表彰 奨励賞を受賞された大塚朋廣先生を訪ね、受賞対象となったご研究とその後についてお話を伺いました(図1)。以下は主な質疑応答です。 |
過去の訪問記
訪問日:2014/07/22 | |||
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訪問時の所属機関 | 独立行政法人 理化学研究所 創発物性科学研究センター 量子機能システム研究グループ | 訪問時の役職 | 研究員 |
理化学研究所・大塚朋廣先生を訪ねて
和光の量子機能システム研究グループの大塚先生を訪ね、真新しい会議室に通されました。この研究グループは昨年度に4人でスタート、現在は10人になったとのことです。この研究グループに加わる前に、先生はコペンハーゲン大学のニールス・ボーア研究所で5ヶ月間、固体中量子状態の高速読み出しに関する研究に従事、今回の助成研究の柱になっています。またグループとしては現在、小さな半導体デバイスを作り、1ヶずつの電子を使って面白い計算をするという量子コンピューティングに向けた研究を行っています。
近年、情報処理デバイスの低消費電力化や多機能化に向けて、スピントロニクスデバイスや量子情報処理デバイスなどの新しいデバイスが提案されています。これらのデバイスでは、スピン効果や量子効果を示す半導体微細材料、またその内部の局所電子状態が本質的に重要な役割を果たすとのことです。そこで助成研究では、局所電子状態を調べるための量子ドット(以下QDと表示)を用いた新しい局所プローブと、その状態の高速時間変化を明らかにするための超高速読み出し手法を組み合わせて、新しい超高速QDプローブを実現しようとしています。
QDは電子を小さい所に閉じ込めるデバイスで、その内部に操作性の良い量子準位が形成されます。測定対象からこの準位への電子のトンネルを調べることにより、対象内部の電子状態を調べることができます。また、測定対象に単一のトンネル障壁で結合した横結合型QDは、外界との間に電子の出入りが生じないことから、測定に際しての擾乱が極端に小さい優れたプローブになります。このQDプローブへの電子のトンネルはごく近距離でしか起こらないため、狙った場所に予め作製することにより、そこでの局所状態を調べることができます。また将来的には、このプローブを走査型プローブ顕微鏡の針先に付けられれば場所を選ばず計測できる可能性があるとのことです。
QDプローブの詳細は下図に示します。QD内準位のエネルギーを測定対象に対して変化させ、その際の電子のトンネルによる生じるQD内電荷数の変化を、近傍に設置した量子ポイントコンタクト(QPC)の伝導度の変化として調べます。研究では量子細線(QW)に電圧バイアスを掛けたときのQDに最も近いQWの一点の電子状態を調べています。QD中の準位がスピン状態に依存するので、QW内に生じたスピン偏極を検出できるとのことです。
また、量子ドット中の単一電荷を超高速(μ秒レベル)で読み出す技術は、前述のニールス・ボーア研究所での研究を生かして、量子ポイントコンタクトを用いた電荷検出器を高周波共振器回路に組み込み高周波の反射測定を行うという手法です。この手法は世界でも少数のグループでしか実現していないとのことです。
現在、半導体デバイスにGaAsを用いていますが、将来的には他の材料も検討しているとのことです。 寿命の短いスピンの状態を局所的にとらえるなど、スピントロニクスデバイス実現に向けた物理現象の解明に期待したいと思います。(2014年7月22日訪問、技術参与・飯塚)
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